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精神療法面接のコツ 

精神療法面接のコツ精神療法面接のコツ
(1990/09)
神田橋 條治

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オススメ度 ★★★★★

「精神療法は異物である」と言われれば、心理士を目指す多くのものは自身のアイデンティティが揺さぶられる感覚を味わうかもしれない(異物は「揺さぶり」を引き起こす)。
しかし、神田橋はそう言い切る。
そして、治療者の仕事は最小限にとどめなければならない、とも言う。
なぜなら、患者は自己治癒力と自助の活動を有する存在であると考えるからである。
そのため、治療者が前面にしゃしゃり出るのではなく、患者が持つ、治ろうとする資質を引き出しやすいように「抱える」ことが何より大事なこととなるのである。

神田橋はこのような大前提のもと、治療者としてどのように患者を「抱えるか」、そして「揺さぶるか」といった抽象的な議論になりがちなテーマを実に具体的に、理解の進むような形で叙述している。
不躾であることを認めるに吝かではないが、僭越ながら述べさせていただくと、神田橋という天才は治療や診断の才を有するだけでなく、患者と関わる際に感じる感覚・感性・ニュアンスを的確に把握する才をも有し、さらにそれらを客観的に分析し、言語化する才をも有していると言えよう。

「何々療法を専門に臨床をやりたい」と、クライエントではなく自分を主語に置くような考えに偏りがちな、技法偏重者にこそ、本書を読んでいただきたい。

私は、本書を、個人臨床を専攻とする他研究室の先輩に勧められるまま読んだが、神田橋が語る内容が私の専攻するコミュニティ心理学と近似していたため(私にはそのように感じられた)、非常に勇気づけられた。
時としてコミュニティ心理学は個人臨床と相容れないとの誤解を受けるが、全くそうではなく、むしろ補完するものであると言うことが、本書を読むとイメージされることと思う。

出版された順番は前後するが、本書の理解に奥行きを持たす意味でも追補 精神科診断面接のコツも読まれることもオススメする。
確かに心理士は病名を「診断する」ことはないが、筆者は「精神療法面接では患者の生活への意欲と能力とを「引き出す」「妨げない」「障害を取り除く」ことが目標であり、診断面接では同質のことを二人関係という狭い範囲内でおこなう(p55より引用)」といった違いでしかないと述べており、診断をしない心理士(および志望者)も参考にすべき点は多いからである。
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カテゴリ: [心理系オススメ図書]実践向け

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