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知層その2 

読めば、あなたの知層になる。

ってことで、去年度に引き続きこの1年間に読んだ心理学関係の図書をさっと書いてみます。


大学院生になることを志している人や現役の院生が主な読者だと思うので、少し厳しいことを言いますが、臨床心理系の大学院の学生ならば最低でも年間100冊は専門書を読む必要があると思います。

おそらく、同じ対人援助職を目指す医学や法学関係の学生は年100冊なんて当たり前に読んでいます。この程度の専門書数も読む努力もしないで「臨床心理士の地位が低い」だの「給料が安い」だの言っているのはちょっとおかしいのではないかと個人的には思います。
(ビルゲイツは年間300冊は読んでいたとか)

見合うだけの努力をしないと、社会はその専門性を認めてくれないと思います。
「読む時間が無い」「忙しい」と言うのは最も愚かな言い訳です。これらの言い訳はマネジメントして時間を作っている人に大変失礼です。時間は作ればあります。
そもそも何のために大学院へ行くのか考えましょう。勉強しに行くのでしょう?なのに勉強する時間が無いって何ですか?意味不明です。寝る前の30分から1時間、通学の電車・バスの中、入浴中、昼休みなどなど、読む時間なんて作ろうと思えばいくらでも確保できます。

実習に週3日行き、ロッカーがパンパンになるだけの論文を読み、修論を書き、勉強会やワークショップ、カンファレンスにも参加し、後輩のために勉強会を企画・運営し、夜中の11時まで卒論の面倒みていてもこの程度は読めるはずです。

実際読めました。
といっても、本年度はお金がなかったので再読した本が多いですが…。
でも、大切なことが書いてある本は何度でも読みましょう。


「知らないことは出来ないこと」と言うのが僕の持論ですが、勉強しないで実習等の実践をするなんて僕には信じられないし、とても怖いことだと思います。
専門家としての自覚があるなら、勉強をして「知ること」も専門性を高める過程だと思って「時間を作ること」をプライオリティの上位に持ってきてください。



中には「こんなに読んでも覚えていられない」と言う方がいらっしゃるかと思います。もっともな指摘ですが、はっきり言ってそれで構わないと思います。

この日記を読んでくれるであろう読者はおそらく心理学に精通していらっしゃる方々だと思うので、そのような方々に言うのも野暮な話ではあるのですが、理由は以下の通りです。

つまり、人間の記憶は「記銘」「保持」「想起」から成りますが、必ずしも想起が出来なくても、その知識が頭の中から消えた、と言うことを意味しないからです。「思い出せない」のは単に想起するだけの手がかりが無いだけなのかもしれないのです。保持はされているものです。

人間の知識と言うのは非常によくできていて、基本的に一度見聞きした情報は全て脳内にインプットされています。
だから、意識的に思いだせなくとも、本来は他で見知った知識であるにもかかわらず、あたかも自分オリジナルの考えであるかのように突然に洞察を得ることがあるのです。これは潜在的に情報が脳内にインプットされていたことを裏付ける現象です。

このように、忘れてもいい(正確には思い出せなくてもいい、意識的に覚えておかなくてもいい)のです。気がつかないうちに自分の血肉となっているものだからです。

とりあえず、学生なのですからたくさん吸収しましょう。


ブクログ


【理論】
1. 「初回面接入門」(岩崎学術出版社)
2. 「セラピストの仕事」(金剛出版)
3. 「心の専門家になる!臨床心理学のはなし」(ナツメ社)
4. 「精神療法の第一歩」(金剛出版)
5. 「精神疾患の面接法」(新興医学出版社)
6. 「心理療法におけることばの使い方」(誠信書房)
7. 「セラピスト入門」(日本評論社)
8. 「心理療法のできることできないこと」(日本評論社)
9. 「思春期とアタッチメント」(みすず書房)
10. 「個人心理学講義」(一光社)
11. 「アドラー心理学の基礎」(一光社)
12. 「アドラー心理学 トーキングセミナー」(星雲社)
13. 「続アドラー心理学 トーキングセミナー」(星雲社)
14. 「人はなぜ神経症になるのか」(春秋社)
15. 「改訂 ロジャーズを読む」(岩崎学術出版社)
16. 「トランスパーソナル心理学入門」(講談社現代新書)
17. 「自己心理学入門」(金剛出版)
18. 「生き延びるためのラカン」(バジリコ)
19. 「ラカンの精神分析」(講談社現代新書)
20. 「改訂版 臨床心理地域援助特論」(放送大学教育振興会)
21. 「コミュニティ・アプローチ」(東京大学出版会)
22. 「精神病理と心理療法」(北大路書房)
23. 「統合的介入法」(東京大学出版会)
24. 「電話相談の考え方とその実践」(金剛出版)
25. 「誤診のおこるとき」(みすず書房)
26. 「これからの臨床心理学」(東京大学出版会)
27. 「これからの心理臨床」(ナカニシヤ出版)
28. 「臨床に活かす基礎心理学」(東京大学出版会)
29. 「臨床心理学の倫理をまなぶ」(東京大学出版会)
30. 「心の探究―エビデンスと臨床」(誠信書房)
31. 「心理療法とイメージ」(放送大学教育振興会)
32. 「絵本と童話のユング心理学」(大阪書籍)
33. 「エッセンシャルズ 心理アセスメントレポートの書き方」(日本文化科学社)
34. 「心理検査の伝え方・活かし方」(金剛出版)
35. 「WAIS-Ⅲ 理論マニュアル」(日本文化科学社)
36. 「パーソナリティと臨床の心理学」(培風館)
37. 「臨床と性格の心理学」(岩波書店)
38. 「現代のエスプリNo527 発達障害とパーソナリティ障害」(至文堂)
39. 「社会的ひきこもり」(PHP新書)
40. 「フツーの子の思春期」(岩波書店)
41. 「変わりゆく思春期の心理と病理」(日本評論社)
42. 「思春期臨床の考え方・すすめ方」(金剛出版)
43. 「思春期の心の臨床」(金剛出版)
44. 「発達障害は治りますか?」(花風社)
45. 「発達障害の子どもたち」(講談社現代新書)
46. 「ササッとわかるアスペルガー症候群との接し方」(講談社)
47. 「ササッとわかる最新「ADHD」対処法」(講談社)
48. 「トラウマの現実に向き合う」(岩崎学術出版社)
49. 「摂食障害の不安に向き合う」(岩崎学術出版社)
50. 「うつ病をなおす」(講談社現代新書)
51. 「性犯罪の心理」(河出書房新社)
52. 「「食べない心」と「吐く心」」(主婦と生活社)
53. 「強迫性障害治療ハンドブック」(金剛出版)
54. 「マインドフルネスそしてACTへ」(星和書店)
55. 「アサーション・トレーニング」(日精研)


【心理療法】
56. 「山上敏子の行動療法講義with東大・下山研究室」(金剛出版)
57. 「強迫性障害の治療ガイド」(二瓶社)
58. 「認知療法・認知行動療法治療者用マニュアルガイド」(星和書店)
59. 「ケアする人も楽になる認知行動療法入門 BOOK1」(医学書院)
60. 「ケアする人も楽になる認知行動療法入門 BOOK2」(医学書院)
61. 「認知行動療法100のポイント」(金剛出版)
62. 「事例で学ぶ認知行動療法」(誠信書房)
63. 「認知療法・認知行動療法 事例検討ワークショップ(1)」(星和書店)
64. 「認知療法・認知行動療法 事例検討ワークショップ(2)」(星和書店)
65. 「認知行動療法実践ワークショップI ケースフォーミュレーション編(1)」(星和書店)
66. 「パーソナリティ障害の認知療法」(岩崎学術出版社)
67. 「認知行動療法家のためのACTガイドブック」(星和書店)
68. 「ACTをはじめる」(星和書店)
69. 「スキーマ療法」(金剛出版)
70. 「対人関係療法マスターブック」(金剛出版)
71. 「対人関係療法 総合ガイド」(岩崎学術出版社)
72. 「対人関係療法でなおす社交不安障害」(創元社)
73. 「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」(紀伊國屋書店)
74. 「グループ対人関係療法」(創元社)
75. 「いやな気分の整理学 論理療法のすすめ」(NHK出版)
76. 「ユング派カウンセリング入門」(ちくま新書)
77. 「子どもの心理臨床入門」(金子書房)
78. 「遊戯療法 二つのアプローチ」(福村出版)
79. 「交流分析のすすめ」(日本文化科学社)

【アセスメント】
80. 「ロールシャッハ診断法1」(サイエンス社)
81. 「ロールシャッハ・テスト講義Ⅰ」(金剛出版)
82. 「ロールシャッハ・テストSweet Codeコーディング・システム」(金剛出版)
83. 「包括システムによるロールシャッハ臨床 エクスナーの実践的応用」(誠信書房)
84. 「ロールシャッハ・テストQ&A」(星和書店)
85. 「樹木画によるパーソナリティの理解」(ナカニシヤ出版)
86. 「樹木画テスト」(北大路書房)
87. 「WAIS-Ⅲの解釈事例と臨床研究」(日本文化科学社)

【福祉】
88. 「ACT-Kの挑戦」(批評社)
89. 「ケースワークの原則」(誠信書房)
90. 「ソーシャルワーク実践事例集」(明石書店)
91. 「べてるの家の恋愛大研究」(大月書店)
92. 「技法以前」(医学書院)
93. 「感覚統合Q&A」(協同医書出版社)

【再読本】
94. 再「臨床面接のすすめ方」(日本評論社)
95. 再「追補 精神科診断面接のコツ」(岩崎学術出版社)
96. 再「臨床心理アセスメント入門」(金剛出版)
97. 再「初回面接入門」(岩崎学術出版社)
98. 再「精神療法面接のコツ」(岩崎学術出版社)
99. 再「心理臨床の発想と実践」(岩波書店)
100. 再「動機づけ面接法 基礎・実践編」(星和書店)
101. 再「動機づけ面接法 実践入門」(星和書店)
102. 再「支持的精神療法入門」(星和書店)
103. 再「カウンセリングテクニック入門」(二瓶社)
104. 再「私説 対象関係論的心理療法入門」(金剛出版)
105. 再「個人心理学講義」(一光社)
106. 再「現代アドラー心理学 下」(春秋社)
107. 再「アドラー心理学教科書」(ヒューマン・ギルド出版部)
108. 再「可能性療法」(誠信書房)
109. 再「方法としての行動療法」(金剛出版)
110. 再「認知療法・認知行動療法カウンセリング」(星和書店)
111. 再「集団認知行動療法実践マニュアル」(星和書店)
112. 再「パーソナリティ障害の認知療法」(金剛出版)
113. 再「対人関係カウンセリング(IPC)の進め方」(創元社)
114. 再「対人関係療法入門ガイド」(創元社)
115. 再「対人関係療法マスターブック」(金剛出版)
116. 再「ロールシャッハ・テスト―その実施・解釈・臨床例」(川島書店)
117. 再「ロールシャッハ・テスト講義Ⅰ」(金剛出版)
118. 再「心理検査TATかかわり分析」(東京大学出版会)
119. 再「ライブ講義M-GTA 実践的質的研究法」(弘文堂)
120. 再「グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践」(弘文堂)
121. 再「トラウマの現実に向き合う」(岩崎学術出版社)


【心理系DVD】
「対人関係療法の実際」
「動機づけ面接の応用」
「マイクロカウンセリング技法」
「認知療法・認知行動療法カウンセリング 初級ワークショップ」
「認知療法・認知行動療法面接の実際」
「うつ病に対する認知療法アプローチ」
「Beck&Beckの認知行動療法ライブセッション」
「認知行動療法、べてる式。」
「ACTをみる」
「スキーマ療法」

【小説】
「重力ピエロ」(新潮文庫)
「流星ワゴン」(講談社文庫)
「ゲド戦記 影との戦い」
「サクリファイス」(新潮社)


以上の書籍の中で、特に医療系の職場で働くことを希望する人には「スキーマ療法」を読まれることを強くオススメします。理由は以下の通り。

①DSMでは原因論を廃止し、症候論的分類を採用したため、「表に現れる不適応対処方略」の分類でしかなく、「なぜその対処方略を不適応ながら用いるのか」という視点が欠落している。
そのため診断治療・援助方略は結びつかない。医師の診断がついたクライエントの状態像を「過去の成育歴や、なぜその診断がつくような認知・行動・対人関係のパターンを示すに至ったかを踏まえ、心理療法という援助とクライエントの困り感を結びつける」うえでスキーマ療法の発想や考え方は非常に有益である。

現在の表に現れた症状だけでなく、なぜその症状を呈さざるを得ないのか、という発達論的観点を持つことはパーソナリティ障害の理解だけでなく、発達障害の理解にも有益。特に成人の発達障害を抱える人はパーソナリティ障害と誤診を受けていることが非常に多い。



②改訂されることでDSM-5となり、いままでのパーソナリティ障害の診断基準は大きく変わる(自己愛性パーソナリティ障害は診断名から消えるなど)。
これは実際のクライエント像が「○○パーソナリティ障害」「××パーソナリティ障害」とクリアーカットに分類できるものではなく、いくつかがオーバーラップしているのが普通であるとの臨床経験から、パーソナリティ障害をいくつかの特性の「グラデーションの差」として捉えようとの認知的パラダイムシフトによる。
このDSM-5 のパーソナリティ障害の捉え方はスキーマ療法が想定する「モード」の考え方が非常に参考となる部分が多い。そのため、スキーマ療法を実践するしないにかかわらず、スキーマ療法が想定する障害の捉え方をしることは今後の臨床活動の大きな助力となることは必至である。



③スキーマ療法は認知行動療法を中心にアタッチメント理論や対象関係論に代表される精神力動論の理論を統合的に組み合わせた心理療法であるため、非常にバランス性に優れた概念群でもある。
ゆえにきちんと幅広く臨床心理学を学んできた人にとっては、スキーマ療法の理論から洞察を得られる部分が多く、今まで獲得した知識の点と点を線で結んでくれやすくなる。



付け加えると、アドラー心理学を学ぶことも臨床的に有用であると思います。
アドラーの理論を学ぶと様々な心理学や技法を相互的に理解することが容易になるからです。


例えば、アドラー心理学の「認知論」「行動論」は直接「認知行動療法」に通じるところがあるし、「対人関係論」は「対人関係療法」に通じます。
また、「メタファー」「ユーモア」を使うところは「ACT」に通じ、「勇気づけ」の技法は「動機づけ面接」や「支持的精神療法」に、そして「早期回想」の技法やそれに基づく「ライフスタイルアセスメント」は「スキーマ療法」と瓜二つです。
さらに「共同体感覚」はコミュニティ心理学にも通じます。
僕の知る限り、これほどの理論・心理療法を体系的に結びつけるだけの心理学はアドラー心理学を置いて他にない。


ただし、アドラー心理学では「援助者としてどういうスタンスでいるか」という観点が(理論的には)希薄であるため、加えてコフートやユングの理論を知っておくことは重要であると思われますが。
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カテゴリ: [心理系オススメ図書]知層(1年間で読んだ本)

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