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投影法 ロールシャッハ・テスト 

ロールシャッハ・テスト

ロールシャッハ・テストとは、あいまいな図版に対する反応の知覚形体の水準から受検者のパーソナリティを把握する目的でロールシャッハによって作成された投影法の一種である。
刺激となる図版は、黒5枚、赤黒2枚、多色3枚からなる左右対称のものである。そのため、ロールシャッハ・テストは元々インクブロットと呼ばれていた。

ロールシャッハ・テストでは、「どこが、何に、どうして、どんなふうに見えたか」を答えてもらい、その反応を決められた手続きに基づき符号化スコアリング)していく。

実際にロールシャッハ・テストで用いる図版を提示することはできないので、類似した図版として臨床心理学概説 (放送大学教材)のP79より引用したものを以下に示す(図1)。
ロールシャッハ

ロールシャッハ・テストの実施手順としては大きく①自由反応段階、②質問段階、③限界吟味段階の3段階がある。


①自由反応段階
自由反応段階では、受検者に図版を提示し、その図版が何に見えたのかを自由に反応してもらう。
検査者はあくまでも非指示的態度を徹底する。その際、検査者は初発反応時間や発語、振る舞いなどを記録する。
受検者が1枚の図版につき1つの反応しか示さない場合、3図版目くらいまでは「もし他にありましたら、どうぞ」などと言って、反応を誘発することもある。反応数が少ないと、後の解釈が困難となるためである。


②質問段階
次の質問段階では、自由反応段階で得られた反応について「何が、何処に、何故そう見えたのか」を聞き、それにそってスコアリングしていく。

スコアリングするカテゴリー

反応領域(何処に見えたか)
反応決定因(何故そう見えたか)
反応内容(何が見えたか)
形態水準(その反応は明細か否か、統合性が低いか否か)
平凡反応、稀反応の点(よくみられる反応か否か)

※上記は片口式に基づいて述べたものであるが、他式に基づく場合には他にスコアリングする内容もある。
例えば、名大式の場合、上記の他、感情カテゴリー思考-言語カテゴリーに対してもスコアリングを行う。


質問段階のとき、検査者は暗示的・誘導的な質問をしないように気をつけ、受検者が自発的に語れるように努める。
例えば、受検者が「コウモリに見えました」と反応したことを受けて、誘導尋問的に「そのように見えたのは羽があるからですか?」といったように質問してはならない。


③限界吟味段階
限界吟味段階とは、自由反応段階・質問段階で生じた疑問を受検者にたずねていく段階である。
ただし、検査者の熟練度が向上したうえでどうしても精度が求められる場合に限ったほうが無難であり、再検査の予定がある場合などは実施しない。


以上の段階を経て得られたスコアや受検者の語りの変遷過程から、受検者のパーソナリティを解釈することになる。
ロールシャッハ・テストでは、スコアから解釈する方略を量的分析といい、語りの内容から解釈する方略を継起分析という。受検者のパーソナリティを推測する際は、この両者の分析内容を参考として総合的に判断することになる。


ロールシャッハ・テストは非常に豊かな情報が得られる有益性の高い道具であるが、実施には十分注意することが必要である。
なぜなら、ロールシャッハ・テストは心理検査の中でも最も侵襲度の高いものとされているからである。
統合失調症の発病前に実施すると、その発症の引き金を引くことさえあると言われているほどである。

なお、この引き金を引く現象はロールシャッハ・シュープとして知られている。(シュープとはドイツ語で「急性状態になること」の意)
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カテゴリ: [心理学]心理検査学

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